悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-3)観察瞑想とメタ認知 5-3-2)観察瞑想と気づき 5-3-2-1)観察瞑想とは 5-3-2-2)(認知的)気づきとは

5-3)観察瞑想とメタ認知

5-3-2)観察瞑想と気づき
5-3-2-1)観察瞑想とは
集中瞑想の主目的が、注意機能を自由自在に操作できるようになることでした。それを達成したならば、次ぎの観察瞑想に移ります。観察瞑想である「ヴィパッサナー」瞑想・「マインドフルネス」(瞑想)とは、「今の瞬間の現実」(生の感覚情報)に常に気づきを向け、その現実を「あるがまま」(判断・評価しないで)に知覚して、それに連なる無意識に沸き上がる思考や感情には「囚われない」(執着しない・注意を向けないで受け流す)でいる心のもち方や存在のありようを心掛ける瞑想態度をいう。そういう心持ちで行う瞑想を、一般的に「観察(洞察)瞑想」という。
5-3-2-2)(認知的)気づきとは
瞑想の中で、今の瞬間に湧き上がる(ボトムアップする)感情や思考から距離を取り、それが心の中の一過性の出来事(諸行無常)に過ぎないことに気づくという体験を通してメタ認知的気付きを促進します。
「気付き」とは、意識上になかった(無意識内に潜在した)情報が、何かの拍子に意識上に現れた現象、つまり「意識化」です。私達(自我・意識)は、無意識段階に留まる情報には気づけません、例えそれが行動面や感情面や身体面に影響を与えたとしても。
観察瞑想を実践すると、ボトムアップ型顕著性ネットワーク領域(気づきを生み出す)とトップダウン型前頭−頭頂(背側)ネットワーク領域(注意機能)の間の機能的結合性が強くなって行きます。この結果は、瞑想経験を積むことで「気づき・洞察」と「注意制御」に関わる 2つのネットワークの連携が平常時から高い状態に変化します。これは、ボトムアップ情報が注意機能に受け取られ易くなるということを意味します。ある事柄(群集の中の知人)は、気づかれる前は、他の情報群の中に同列の重み(重要性)しか持たなかったのが、その事柄に他とは異なる差異(評価・価値など)を見出だし注意を向けることによって意識面に浮上することを気づき(意識化)という。
私は、これはカクテルパーティー効果だと思います。それは、脳は、五感から得られた情報から、自分にとって重要(価値・差異・評価・奇異)だと認識された情報のみを選択し、それに注意を向けるという性質だといえます。
注)たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができることを、カクテルパーティー効果という。
よく似た理論として、ゲシュタルト心理学があります。それは、絵や風景を眺めた時に背景として認識する部分を「地」と見て、注意を向けて見ている部分を「図」と呼びます。カクテルパーティー効果は、全てが背景と感じられる時に、突然図が浮上することです。