悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-3)観察瞑想とメタ認知 5-3-6)メタ認知と(内側)前頭前野と観察瞑想

5-3)観察瞑想とメタ認知

5-3-6)メタ認知と(内側)前頭前野と観察瞑想
メタ認知能力の発達は、自己(外面)に気付くこと(自意識)から始まり、5~6歳頃から周囲の状況(外界)と自分の能力(内面)を考慮して起こりうる事態を予測(シミュレーション・思考)するなど、いくつかのメタ認知的機能について成人と同様の能力が生まれます。
ところで、内側前頭前野について、興味深い仮説に出会いました。
それを私なりの解釈を入れて説明します。内側前頭前野(特に前頭極)は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の中核的位置に立つが、内側前頭前野(検索用情報貯蔵庫)は、自分が興味関心を抱く内容を後々行動を選択する際に活用する為に、事前に多彩な経験情報に首をつっこんで収集しまくります。そして後に選択される頻度が高まるに連れて、その情報は選択される優先順位が高まります。つまり収集した全情報が優先順位(使用頻度別)を基準にして、体系立てられていきます。私は思わずグーグルを思い浮かべてしまいました。
他方、目の前に出現した(今ここの)状況に対して、前部帯状回(情報選択肢提示装置)は、その時々の状況から複数の選択肢を提示します。それを受けて、外側(背外側)前頭前野(メタ認知と判断機能)は、その状況に最適な一つの選択肢を選んで、実行(指令を発信)に移します。
つまり溜め込んだ経験情報を持つ内側前頭前野の行動選択基準(優先順位)に基づき、前部帯状回が検出したいくつもの競合(可能選択肢)を提示し、外側前頭前野(メタ認知機能)がその時々に最適な行動選択と制御を行うことによって課題を解消することができます。
これを基に観察瞑想を解釈します。観察瞑想に入ると、内側前頭前野が中核的位置にあるデフォルトモードネットワークが活性化されて、過去から溜め込んだ優先順位別経験情報が引き出されて自発自展する内容を(背)外側前頭前野が選択します。結果的には、無意識裏に内側前頭前野に留まっていた経験情報(特に検索用タグ情報)は徐々にメタ認知領域(外側前頭前野)へと統合(意識化・外在化)されて、西田幾多郎のいう意識的な自覚に至ります。

次(第五章の第四節)からは、メタ認知内容の内側前頭前野に留まっている経験情報やそれにすら至っていない無意識情報について当たっていきます。なお集中瞑想では、情報源の内側前頭前野が活性化されるが、観察瞑想では、メタ認知制御機能の背外側前頭前野が活性化されます。