悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-4)観察瞑想と雑念 5-4-3)感覚情報の行方

5-4)観察瞑想と雑念

5-4-3)感覚情報の行方
五感から第一次感覚野に入った今現在の感覚情報は、過去の学習や体験などの層(第二次、更に高次感覚野)を通過することによって、感覚の種類・性質・程度・時間的経過・空間的位置などを認識する働きを「知覚」という。その後更に高い層を通過する過程で、いくつかの知覚からまとまった内容を判断し理解する働きを「認知」という。
「感覚受容」から「知覚」へ更に「認知」へと、浅い層から深い層へ(あるいは低い層から高い層へ)と進みます。脳科学的にいえば、現在情報と過去情報の統合が進んで高い階層に昇るのですが。
あらためて説明すると、「感覚」(情報)は、各感覚器官から「視床」を経由して大脳新皮質の「第一次感覚野領域」に投射(入力)されるまでの受容過程を指します。次の「知覚」は、第一次感覚野領域から「第二次感覚野領域」への情報統合(付加・添付・統合)が起こる統合過程です。「認知」は、知覚された情報を過去の経験や現在の状況などから判断し理解することであり、第二次感覚野領域からさらに「第三次連合野」(高次連合野)において統合される総合過程です。
具体的に説明すると、第一次感覚野領域では、それが何であるのかは判別できません。例えば、第一次視覚野領域(後頭葉)への光刺激は、光が輝くような明るい線とか色などの単体の個別要素が感じられる、識別されるのみです。第ニ次視覚野領域にそれらの視覚情報が入って、それが何か(例えば花、車など)が知覚されます。第一次聴覚野領域に入った人の声は、そこでは単なる音として感じられるのみであり、第ニ次聴覚野領域に入ってから人が発する言葉(人声)として知覚されます。更に進んで意味や文脈などが認知されます。このような認識が高まって行くのは、過去の様々な情報が付加され統合されるからです。
なおトップダウン注意(意識)機能が及ぶのは、第二次感覚野(を含めて)から高次感覚野です。第一次感覚野は完全無意識領域です。このような変遷を通過した、第二段階のあるいは第三段階の統合情報が日々雑念として浮遊します。