悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-5)観察瞑想と自我 5-5-3)情報とは

5-5)観察瞑想と自我

5-5-3)情報とは
人間の肉体部分は、基底的基礎要素としての「細胞」で構成されています。その肉体部分に宿る心は、基底的基礎要素としての「情報」で構成されています。膨大な細胞で構成される肉体が一つの統一体であるように、膨大な情報で構成される心も一つの統一体として機能します。
だから心は、情報が集まれば集まるほど成長して行きます。とは言え、片寄った情報ばかりを集めれば、当然心も片寄ってしまいますが。
ということで、更にさかのぼって情報とは何かを考えてみたい。心(精神)に関わる事柄なので、心理学内を探してみたら、米国の心理学者ギブソンが、「アフォーダンス」という概念を提唱していました。
この用語は、(外部)環境と個体(生物)との間を仲介するのが情報だとして捉える考え方です。
「情報は、環境世界の側に存在するが、生物に知覚されることによってそこに意味や価値が与えられる」、と彼はいう。環境が情報を持っているが、情報そのものは、環境側にある限りは無色透明・無意味(無限定・無)なのだが、その情報に意味や価値(自己限定・有)を見出だすのは生物側だという。生物の能力次第だという。これは、情報そのものは、無なのだが、その情報を生物側が限定して、そこに有を見出だすともとれます。これは、光そのものは、無(無限定)なのだが、物に当たれば有(色)が跳ね返るのと同じです。物が光を限定するといえます。
精神作用の基として、感情、意志、知識、認知、記憶等があるが、それらの内、記憶がそれら全ての大元としてある。というのは、感情、意志、知識、認知は、記憶機能(記憶装置)が存在しなければ成り立たないからです。成長・発達・発展は、記憶機能(記憶装置)がもたらします。
心(精神)が育つためには、(外部)環境と個体(生物)とが相互作用することによって、環境にある情報をその時々の能力に応じて知覚し意味や価値をそこから獲得します。その生の無色透明な中立性情報に付加価値を付けるのが、感情、意志、知識、認知などの精神機能です。これら各階層の精神機能には、それまでに蓄えられた付加価値情報が記憶されており、それらの記憶情報と新しく取得された情報とを基にして精神機能が行使されています。
キリストはいう、「人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる」と。人間の肉体部分は、パンを食べて生きるが、心は、環境(神)から手に入れた情報(ことば)を食べて成長します。
あらためてまとめれば、自我は、心であり、心は情報で構成され、情報は環境から取り込まれます。即ち自我は環境で育ちます。