悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-6)瞑想と意識 5-6-2-2)統合情報理論

5-6)瞑想と意識

5-6-2-2)統合情報理論
「受動意識仮説」が正しいならば、これから説明する「統合情報理論」は違いなのでしょうか。それもまた違います。つまり両者共に正しい。ただ違うのは、論理展開する方向(分野)が違うのです。ということで、あらためて「統合情報理論」を紹介します。
脳は、厳然たる事実として意識を持っています、しかもただエピソード記憶情報を集めるだけの受動性意識だけではなく能動性意識も。ではどのようにして意識を持つのでしようか。
脳が意識を持つためには、神経細胞同士が密に情報をやりとりし、更にネットワーク内部で多様な情報が統合されている必要があります。「ネットワーク内部で統合された情報の量は、統合情報量として定量化され、その量は意識の量に対応している」と、統合情報理論はいう。
例えば、昏睡・植物状態・深い睡眠・全身麻酔状態でも、部分的ながらも脳活動は失われず、かつ外部からの感覚入力にも反応できる脳であるにも関わらず意識が宿らないのは、情報の統合が失われるからだというのが統合情報理論です。ジュリオ・トノーニが、この情報統合理論を提唱しました。
意識の統合情報理論では、脳は、感覚神経系と認知過程とにより複雑な情報をつなぎ合わせて(統合して)いると考え、「統合された情報の量を定量化して、その量が多いほど意識の量が多い」とします。
例えば、左右分離脳では、分離された左右脳それぞれが、独立状態で同程度の情報の統合を行っているため、左右の脳が独立して弱いながらの意識が分離して存在します。ただ右脳は発信機能(特に言語機能)を持たないのです。
つまり意識を成立させるには、閾値に達するのに必要な量の「情報の統合」です。つまり無意識は情報統合レベルが低いが故に意識にまで到達できないという。脳内では、情報統合レベルが最も高いのは前頭前野です。ということで、この理論から言えば、意識は前頭前野にあります。だが意識は前頭前野に常駐しているわけではなく、情報統合量=意識の量なので情報統合量の少ない睡眠状態では、能動性意識レベルにまでは強くなく、それよりも弱い受動性意識が細々と灯っています。だから睡眠中は観察瞑想となります。つまり意識は水位のように脳内を上下します。
参考)脳では視床から上は左脳と右脳に別れているので、乾電池(発電所:脳幹)と豆球(意識:前頭前野)と電線で、豆球回路(閉鎖回路)を構成できます。左右脳を切り変えるのは、脳梁です。