悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-6)瞑想と意識 5-6-2-4)私見の意識

5-6)瞑想と意識

5-6-2-4)私見の意識
これから述べる内容は、単なる私の私見であることを申し添えておきます。「受信(ボトムアップ処理)から発信(トップダウン処理)へ」の「切り替え点」という最高階層が「意識の原点」だと、私は考えます。ただ意識(無意識をも含む)には、強さ・広さ・深さがあります。強さに欠ける情報群は、意識にまで到達できずに無意識に留まります。
意識や意志とは無関係に一定の刺激に対して、一定の反応を示すことを「反射」という。つまり反射は、ボトムアップ刺激(情報)に対するトップダウン反応です。例えば、網膜に入った光への対光反射は、中枢(切り返し点)が大脳皮質でなく、脊髄です。別の例では、裸足で画鋲を踏むと無意識に足を上げてしまいます。画鋲を踏んだという情報は、感覚(知覚)神経を通って脊髄へ伝えられます。脊髄で情報は二つに分かれ、一方は反射(トップダウン)的に足の筋肉を収縮させ、もう一つは更にボトムアップして上の大脳(頭頂葉)にまで届き、痛いという意識できる「感覚」を生じます。更にボトムアップして、「画鋲を踏んだ」という認識が生じます。この感覚はこのようにして意識にまで届き得ます。だが各階層では反応が異なります。その時足が上がったのは、大脳からのトップダウン信号ではなく、脊髄からの運動(トップダウン)神経を通じての信号によるものです。その結果足がひとりで(無意識)に動いたように感じたのです。また大脳新皮質感覚野レベルではまだ意識がトップダウンし得ない無意識領域です。更にその上に高次連合野があり、そこで知覚や認知(認識)が生まれます。このように一つの同一の刺激に対して階層によって反応が異なります。各階層は独自の反応様式を持ちます。
階層構造では、上位階層は下位階層を制御する機能(能力)を有します。上位階層は、いくつもの下位階層から上がって来る欲求・情報を取りまとめたり、優先順位をつけたり、取捨選択したりする機能を有します。その最上階層にある機能を意識(積極性意識)と呼びます。受動意識仮説は、その最上階層の切り返し点(意識)を所有するのは、あなた(自我・前頭前野)ではなく脳機能の一部(前頭葉運動野)ですよ、あなたは単にその結果報告の受け手であるに過ぎないんですよ、という。つまり人間は情報を統合した結果最適な発信(切り返し)をする自動機械で、あなたはそれをモニターを通して見ている傍観者ですよ、という意味である。それに付け加えるならば、情報統合の頂点に立つのが積極性意識(前頭前野、特に背外側前頭前野)です。私達は、通常積極性意識(前頭前野)(最高階層の切り替えし点)を私だと見なしている。
背外側前頭前野(こめかみの少し上あたりにある数cm程度の大きさ)は、脳の司令塔としての役割を持ち、記憶、意思決定、注意、実行など、思考や行動の中心となるさまざまな機能をこの領域が担っています。
ここで疑問が生じました。各階層で異なる反応(反射・行動、感覚の知覚、感情表出、言語表現など)をするのですが、では私はどの階層に立っているのでしようか。この「積極性意識(前頭前野)」が、あなたなのだろうか。時に疲れてイライラした時に、扁桃体がかんしゃくを落とすが、その時のあなたはどこにいるのだろうか。