悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-7)瞑想と自我防衛機制 5-7-5)成長へ向かう過程・根源力 5-7-5-2)ロジャースの実現傾向

5-7)瞑想と自我防衛機制

5-7-5)成長へ向かう過程・根源力
5-7-5-2)ロジャースの実現傾向
「人格の統合」について、来談者中心療法(クライエント中心療法)を創設した、1940年代のアメリカ人臨床心理学者であったカール・ロジャースは、それを、成長・自律・独立などに向かう「実現傾向」と呼びました。この傾向が最大限に発揮された状態を、「十全に機能する人間」と彼は表現しています。
もう少し説明すると、自己の全体像(自己概念)(エピソード記憶)と一致しない、矛盾・対立する不一致部分は、意識化されず否認され、それらが不適応や心理的問題を起こします。その不一致部分を自己の全体像(人格)へと一致させる方法を、来談者中心療法(クライエント中心療法)という。
カウンセラーが来談者に無条件の肯定的な関心を持ち、共感的に理解することだけで、即ち、カウンセラーからありのままの自分を受け入れられる体験をすると、来談者は、重しを外されたように上に向かって浮上して行きます。つまり来談者は、自分自身のあるがままを受け入れ始めます。瞑想者は、このカウンセラーの役割を自分自身に向けて果たすことで、閉鎖性が幾分か弱まり、不一致部分を拒否することなくあるがままに受容する(より大きな自己概念へと向かう)実現傾向が作動します。観察瞑想とは、ひとり来談者中心療法です。