悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-8)瞑想(静慮・禅定段階) 5-8-6-2)私見「悟り」「仏性」

5-8)瞑想(静慮・禅定段階)

5-8-6-2)私見「悟り」「仏性」
あらためて、私見なのですが、「悟り」「仏性」について述べて行きます。仏性とは、宇宙に遍満する「法」を受ける機能(能力)をいう。悟りとは、仏性が開花して機能(自性清浄心に至った)した結果、その法を全身全脳で受けた瞬間、あるいは法を全身全脳で受ける準備状態に入った瞬間を意味します。逆に堕落とは、今まで機能していた仏性が不全したことを言い表します。天国・浄土・涅槃とは、仏性が当人の中(脳)で十全に機能している状態を意味します。自分の外に天国・浄土があるわけではなく、自分(脳)の中にあります。自身の脳が「ディヤーナ」(静慮・禅定)に定位すれば、たちまちそこが天国・浄土に化します、天国・浄土が来迎します。
「ずいぶん遠くまで探しに行ったけれど、そうか、僕たちが飼っていたハトが青い鳥だったんだね」。モーリス・メーテルリンクが描いた童話「青い鳥」の一節です。僕たち(チルチルとミチルの兄妹)が飼っていた平凡な鳩を幸せの青い鳥にするために、過去の国や未来の国など様々な場所を訪れます。そして最終的に家(自身の脳)の中で青い鳥(天国・浄土・涅槃)を見出だします。しかし家で青い鳥を見出だす為には、様々な国を訪れる必要がありました。それらは無駄な行いでは決してありませんでした。家に居てただ鳩を眺めているだけでは、決して青い鳥になってはくれません。
私は、昔は「一切衆生悉有仏性」(一切衆生はことごとく仏性を有する)なんて有り得るのかと信じられなかったのですが、今ではこれは正しいと確信できます。天意(法・道)と人の言行が自然と一致することを意味する「天人冥合」は、宇宙原理・宇宙法則に人の言動が叶っているということを言い表します。人間は、自我(前頭前野)をしっかりと形成して、自然界自身が成し得ない創造を新しく産み出したとしても、自然界に齟齬なく組み込む為には悟りが必要です。反定立した創造物を自然環境に止揚することが不可欠です。そうでなければ、バグだらけのプログラムのように、ギクシャクして滑らかな動きにはならないでしょう。
スイスの発達認知心理学ピアジェは、子どもを観察して、認知「発達」の基本的な仕組みを導き出しました。先ずは基礎的シェマ(認知構造)を獲得します。つまり情報処理の枠組み(システム)を得ます。同化(新情報を既存のシェマで処理)という(定立)方法が行われます。しかし早晩新情報を既存のシェマで処理できない時(挫折)が来ます。そこで認知のやり方を変えるという調整(反定立)を試みます。その調節が上手く行くことによって更に精度の高い認識構造を獲得するという均衡化(止揚・一段高い階層での統合)に至ります。発達一般は、この方式で進化して行きます。これは弁証法です。この方式を人類全体が実行する時代が到来しています。