悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-1)瞑想と脳波 6-1-1)脳波とは 6-1-2)脳波の周波数域別一覧

6-1)瞑想と脳波

第五章では、「悟りに至る内的な変化」を、「瞑想」という技法を用いて説明して来ましたが、ここ(第六章)では、そのことによって生じる「脳の中での変化」という目に見えない内的な変化を、目に見える形で、再度説明して行きます。まず最初はこの第六章第一節で「脳波」について述べて行きます。

6-1-1)脳波とは
脳波は、脳内の「神経細胞」などの集団が活動した結果発生する「電気的活動」を、「頭皮上」に置いた電極で記録したものです。もう少し具体的にいうと、例えば主に皮質の神経細胞集団(錐体細胞)が局所的に「同期(位相が揃って)して一斉」に活動した結果出された電気活動です。なお大脳ではないが視床も脳幹も、とにかく神経細胞がある所は全て脳波発生源です。
脳波の規則的リズム(律動)は、主に視床で形成されます。視床脳幹網様体賦活系の影響を受けるため、脳波は、それによって生み出される覚醒・睡眠状態や意識レベルにより変化します。
注)脳の消費電力は、約20ワット(薄暗い電球程度)で、これはスーパーコンピュータの約5万分の1にすぎません。つまり脳は極めて省エネ型コンピュータであることを示しています。
なお脳波が確実に測定できるのは哺乳類と鳥類までです。爬虫類などでは脳波活動はかなり微弱となり、その形状も人と異なって来ます。更に両生類や魚類では脳波の存在があやふやとなり、昆虫(脳は約10万~100万個の神経細胞で構成)などの無脊椎動物に至っては、脳波自体が測定不可能です。
注1)脳波は、時間分解性能(ミリ秒単位レベル)は高いのですが、空間分解性能(脳のどの領域での活動かの判定能力)は低いです。
注2)大脳皮質=大脳新皮質大脳辺縁系大脳基底核
注3)錐体細胞は、主に脊椎動物の中枢神経系に存在し、哺乳類では大脳皮質や海馬などに分布する興奮性情報伝達用神経細胞です。大脳皮質の領野内と領野間、皮質から皮質下への情報伝達に重要な役割を果します。

6-1-2)脳波の周波数域別一覧
1)デルタ波(δ波):0.5-4Hz
2)シータ波(θ波):4-8Hz
3)低アルファ波(α波):8-10Hz
4)高アルファ波:10-12Hz
5)SMR(低ベータ波):12-15Hz
6)低ベータ波(β波):12-20Hz
7)高ベータ波:20-30Hz
注)ベータ波は、低ベータ波(12-15Hz)、中ベータ波(15-18Hz)、高ベータ波(19Hz-30Hz)、の3種類に分けられます。
8)ガンマ波(γ波):30Hz-
注1)脳波の分類は研究者によって異なることがあります。
注2)周波数とは、1秒あたりの波形(一サイクル)の数をいう。
注3)ラットでは、4-12Hz:θ波、12-30Hz:β波、30Hz以上:γ波だそうです。