悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-2)瞑想と脳 6-2-1)脳の発達 6-2-1-1)脳全般の発達

6-2)瞑想と脳

第六章第一節で、脳波について述べましたので、ここ(第二節)では「単体としての脳」(局在論的脳機能)そのものについて述べて行きます。脳を概説するのではなく瞑想と関連する脳部位に限定しています。次の第三節では、異なった機能を持つ脳部位が連係(統合)して新しいより高次の機能を創発する「神経ネットワーク」について述べて行きます。ここも瞑想と大きく関わる神経回路に限定しています。

6-2-1)脳の発達
6-2-1-1)脳全般の発達
脊椎動物の脳は、どの生物でも基本構造は、「脳幹」(身体と行動を司る)、「小脳」(運動プログラム貯蔵庫)、「大脳」(大脳基底核(運動系)+大脳辺縁系(感情系+記憶系)+大脳新皮質(知性系))で同じです。ただ違うのはそれぞれの大きさ(比率)ですが、その大きさの違いが大きな意味を持ちます。例えば、魚類、爬虫類、両生類では、本能を司る脳幹が脳の大部分を占めています。ところが人間の脳の大部分を占めるのが、感情、思考、知識、記憶、言語、運動などの活動の中枢機能を司る大脳です。その大脳ですが、外側(最高階層)の系統発生学的に新しく発達した「新皮質」、内側の古い古皮質や旧皮質の3層からなるのですが、人で特に発達した大脳新皮質には、大きく分けて、思考や判断をし行動企画する機能を司る前頭葉、感覚や知覚を司る頭頂葉、視覚を司る後頭葉、聴覚や記憶を司る側頭葉の4つの領域があります。
胎児の脳が母親の胎内で成長する際、生物の進化過程を大筋でたどるように(系統発生的に)、脳幹、旧皮質、古皮質、新皮質の順に発達します。だから身体面や精神面でもその順序で成長発達して行きます。脳部位の内では、前頭前野が最も遅く成熟(髄鞘化)する脳の部位で、小学生(5歳)くらいから成長が始まり、20〜25歳くらいまでにかけて成熟していきます。