悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-2)瞑想と脳 6-2-7)扁桃体と感情

6-2)瞑想と脳

6-2-7)扁桃体と感情
瞑想をしていると、感情刺激情報の処理を司る扁桃体の活動が弱まります。しかも右扁桃体(悲観主義)の灰白質の体積が減少して行きます。右扁桃体は、即座に刺激知覚をするのに対して、左扁桃体(楽観主義)には変化がない。それは、左扁桃体は、刺激を知覚した後に評価や識別をする機能を果たすからです。
注)逆の報告もあります。即ち左扁桃体の活動が亢進すると、不安と混乱が強まり、また抑うつが強まる傾向がみられます。扁桃体の過活動を、腹側前部帯状回が抑止する機能を持ちます。
実験で、不快な内容の画像を見ながら平常心を保つように指示すると、つまり意志(積極性意識)の力を使うと、瞑想非実践者では扁桃体(感情機能)の働きが低下し、前頭前野(抑制機能)の活動は高まりました。つまり意志の出所は前頭前野といえます。扁桃体ドーパミン興奮型D1受容体の密度が高い被験者ほど、恐怖表情の顔写真を見たとき、扁桃体の活動が強い。即ち扁桃体においてはD1受容体を介したドーパミンの信号伝達が恐怖や不安といった情動反応に中心的な役割を担っています。
しかし観察瞑想では、どちらの部位(扁桃体前頭前野)にも変化は起こりませんでした。通常、感情は、扁桃体の興奮(活性化)によって生じ、状況判断を司る前頭前野(特に眼窩前頭前野)の働きによって上位から力づくで抑え込まれます。ところが瞑想実践者では、発生した感情を抑え込むのではなく、より広い範囲での脳活動によって状態を制御しています。瞑想によって扁桃体の厚みが減少して扁桃体の体積が小さいほど他者を信頼する傾向が高い。また瞑想によって記憶にかかわる海馬の厚みが増えたりします。レム睡眠時に側頭葉(この奥に海馬が位置する)に隣接する扁桃体が活性化します。
注)1日45分の観察瞑想を2ヶ月行って、海馬の灰白質(神経細胞群)の大きさが5%増大したとの報告があります。
情動を制御する場合、選択的注意や持続的注意などに関わる背外側前頭前野や、評価や反応抑制に関わる眼窩前頭前野、刺激情報の検出や葛藤(複数情報)の調整に関わる前部帯状回などの前頭前野の活動が増加するが、逆に扁桃体の活動が減少します。