悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-2)瞑想と脳 6-2-8)前部帯状回(前部帯状皮質)

6-2)瞑想と脳

6-2-8)前部帯状回(前部帯状皮質)
前頭前野の後ろ側に脳梁を覆うように位置する前部帯状回は、前頭前野と連係して、自己制御、つまり、注意と行動の対象を意図的に決め、その場にふさわしくない反射的行動を抑え、過去の経験からの学習をもとに最適な意思決定を下す、臨機応変に対応する能力を持ちます。このような行動調節は、意図的に注意を向けたり、行動を導いたり、不適切な無条件反射的な反応を抑えたり、戦略を柔軟に切り替えたりすることを意味します。
注意制御に関わる脳の変化は、集中瞑想時に現れやすい。集中瞑想(能動性意識を起動)の間、前頭前野の活動は広い範囲で抑えられていることが多いのですが、「注意制御に関係する前帯状回背側部」(認知領域)だけは活動を続けています。ところが観察瞑想(受動性意識状態)では通常の安静時と比較して、前部帯状回および前頭前野に変化はあまり見られません。腹側線条体(大脳基底核)と前部帯状回は、行動や認知を制御する脳内の制御機構を構成します。この前部帯状回は瞑想によって活性化されます。
痛み刺激を与えられた際に、集中瞑想を実施していると、主観的な痛みの強度や不快感情などが低下します。その際、トップダウンの認知制御に関わる前部帯状回や、選択的注意に関わる背外側前頭前野や、評価や反応抑制に関わる眼窩前頭前野、下頭頂小葉や視覚野などの活動が高まります。他方で、身体感覚の知覚に関わる一次体性感覚野(実際の痛み感覚情報受容地)の活動、情動に関わる扁桃体や自己参照に関連する後部帯状回などが低下します。