悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-2)瞑想と脳 6-2-9)記憶の海馬(海馬傍回)

6-2)瞑想と脳

6-2-9)記憶の海馬(海馬傍回)
感覚器官から入ってきた情報は、海馬で一時保管されます。つまり海馬は短期記憶を担っています。短期記憶は、何かの作業をするために短い時間だけ覚えておく必要のある記憶で、その作業が終わってしまえば消去してしまうもので、ワーキングメモリ(作業記憶)とも呼ばれます。
注意を分割し、自分と周囲の世界の関係について視野を広げて捉える観察瞑想中の脳の活動は、頭頂葉(感覚情報の集積地)の一部の活動とともに、海馬傍回の活動が左右両側ともに高まります。海馬傍回は、形態的な情報および空間的な情報を集約する部位です。瞑想は、海馬および前頭前野における灰白質(神経細胞の本体が集まる領域)密度の増加させます。海馬は、特に自分が経験した出来事に関するエピソード記憶に関わります。海馬では、同期活動により生じる8Hzぐらいのシータ波が発生します。その際、海馬は、シータ波の位相(山や谷)によって過去・現在・将来の出来事の順序を圧縮して表現しています。レム睡眠中にはθ波(6~10 Hz程度)が海馬で観測されます。
海馬は慢性的ストレスに弱くダメージを受けやすい。呼吸を重視する集中瞑想が、記憶(海馬)や感情(扁桃体)に関わる灰白質(大脳辺縁系神経細胞)を再建する働きを持ちます。