悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-3)瞑想と神経ネットワーク 6-3-2)デフォルト・モード・ネットワーク 6-3-2-1)デフォルト・モード・ネットワーク全般

6-3)瞑想と神経ネットワーク

6-3-2)デフォルト・モード・ネットワーク
受動性意識(無意識処理)(ボトムアップ処理)(DMN)
6-3-2-1)デフォルト・モード・ネットワーク全般
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)は、覚醒し休んでいる時でしかも能動的には何もしていない時に働く神経ネットワークです。逆に能動的に何か(読書、計画、ゲーム、会話、運転、集中瞑想などなど)している時は、作業記憶(CEN・中央実行機能)が働いている時です。中央実行機能(CEN)は能動性行為として働き、DMNは受動性行為として働きます。つまり作業記憶(CEN)は、今現在の新鮮な情報を主に扱い、DMNは、経験によって取り込んだ過去の記憶情報を主に扱います。
この安静時に活動するDMNは、サルでも安静時に活動します。つまり言葉を持たないサルも内向的思考を行います。なのでDMNは、人類が始めて獲得した機能ではありません。
DMNは、受動的内的思考、例えば、自分が過去にしたことを想起する、心に浮かぶことにとりとめもなく思いをめぐらす、いろいろなことを夢想する時に活動します。ぼんやりと過去のことを思いだしたり、未来のことを想像したりすることに関わっています。いわば脳のアイドリング(無意識的活動)のようなものです。デフォルトモードは空想、未来の想像、記憶の取得、心の理論、観察瞑想など、内面的志向(内向性)の課題に受動的集中しているときに活発になります。
このアイドリング時間のおかげで、無意識裏に過去の整理をし、未来の予測をすることができるようになります。ただし、これが過剰になると、頻繁に不安に囚われたりします。
DMNは雑念の源泉でもあります。しかもDMNが活性化しすぎると、頭がぼんやりして注意力が散漫になってしまいます。それに、余計なことを考え過ぎて、不安にさいなまれることもあります。受動型DMNは、何かに積極的に集中しているときには不活性状態なのです。しかし処理量やスピードの面では、CENに比べてデフォルトモード・ネットワークが圧倒的に大きい。
目標指向的課題は、通常作業記憶が担当するが、目標指向的であっても自伝的記憶などの内部的なものであったり、将来の計画などにおいては、つまり意識が外に向かわず心の内部に向くとDMNも関与する。つまり時にはCENとDMNが協業して働きます。
DMNは、1)「自己言及」(自分自身に言及すること)や「情動・感情」に関わる「内側前頭前野」(自己言及)や「前部帯状回」(情動処理)と、2)「エピソード記憶」(自己履歴)や「感覚情報処理」(楔前部)に関わる「後部帯状回」・「楔前部」・「下頭頂小葉」を含む部位とが中心に働きます。つまりDMN は、内側前頭前野、全帯状回、楔前部、下部頭頂葉、外側側頭葉、海馬体を含みます。
受動型腹側注意ネットワークは、中・下前頭回(弁蓋部・三角部・眼窩部)-下頭頂小葉・上側頭回(聴覚性の高次処理拠点)によるネットワークです。つまりDMNとかなり被ります。