悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-3)瞑想と神経ネットワーク 6-3-3)サリエンス・ネットワーク(SN)(顕著性ネットワーク)

6-3)瞑想と神経ネットワーク

6-3-3)サリエンス・ネットワーク(SN)(顕著性ネットワーク)
顕著性ネットワークは、「島皮質前部」と「前帯状回背側部」(認知領域)という2つの脳領域で構成されています。
注1)前帯状回は、扁桃体、中心灰白質、腹側線条体、眼窩前頭前野、島皮質前部などと密に線維連絡があります。また多感覚の連合野との線維連絡があり、選択的注意に関与しています。
注2)島皮質前部は、嗅覚、味覚、内臓自律系、及び辺縁系(扁桃体)の機能により強く関わります。つまり身体内部情報の集約拠点です。
注3)水道周囲灰白質(中脳中心灰白質)は、中脳水道の周囲に広がる細胞集団で、大脳辺縁系視床下部などから情動とそれに伴う自律神経情報を受け、脳幹や脊髄からは感覚情報を受け、これらの情報を統合した上で、行動化や自律神経系活動の発現に関わります。
「DMNとCENの切り替え」をするサリエンス・ネットワーク(顕著性ネットワーク)とは、「身体内部の感覚」(内界情報)や「外部からの刺激による感覚」(外界情報)を制御(監視と警告)する際に活性化される脳内ネットワークであり、気づき(下位階層・身体内部情報からのボトムアップ情報)をもたらします。特にSNで活性化される眼窩前頭前野内側領域は、DMNとCENの切り替えに関わります。
注)眼窩前頭前野は、情動・動機づけに基づく意思決定に重要な役割を果たします。
観察瞑想は、SN(切り替えネットワーク)を活性化させることにより、制御的にDMNを鎮めます。自己に関わる身体内外の変化に対してサリエンス・ネットワークが反応し、それを受けて次に、何が起こったんだと好奇心(注意・意欲)を伴った形でセントラル・エグゼクティブ・ネットワークが働き始めます。
1)デフォルト・モード・ネットワーク(拡散的思考)が受け取った情報に、2)サリエンス・ネットワークが反応(無意識的な注意を向ける)すると、3)セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(集中思考)がその注意の対象に意識を向けます。
要するに、意識(集中・積極性)(CEN)から無意識(拡散・受動性)(DMN)へとその逆への切り替えスイッチがサリエンス・ネットワーク(特に前部帯状回)です。
デフォルト・モード・ネットワークは、経験を土台にして手に入れた記憶を基にした行動や意思決定を自動的に導いてくれます。受動意識仮説は、デフォルトモード・ネットワークを受動意識と見なしているように思えます。しかし、セントラル・エグゼクティブ・ネットワークが積極性意識(能動的に注意を向ける意識機能)として働くように、私には思えます。受動意識仮説は、この積極性意識をどう見ているのでしょうか。