悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-4)瞑想と神経伝達物質(ホルモン) 6-4-2)ドーパミン

6-4)瞑想と神経伝達物質(ホルモン)

6-4-2)ドーパミン
神経伝達物質は、発信する側と受信する側とがあり、ドーパミンでは、「受信側」に受けると興奮するタイプと、逆に抑制するタイプとがあります。具体的にはD1とD5型は興奮型で、D2・D3・D4は抑制型です。だからドーパミン即発奮とはいえないのです。
ここではドーパミンと認知機能との関係に限定して説明します。大脳新皮質(特に前頭前野)でのドーパミンは、認知機能に働きかけるが、大脳辺縁系で働くドーパミンは、快や報酬に関わって働きます。
ドーパミン(受容体)は、大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質です。前頭前野でのドーパミンは、学習・記憶、注意、実行機能などの認知機能を調節する、特に「作業記憶」(CEN)に寄与します。即ち作業記憶課題中に前頭前野ドーパミンレベルが上昇します。
逆に、精神的ストレス刺激がドーパミンA10経路を活性化すると、前頭前野のド-パミンD1受容体を介して前頭前野の行う認知・思考・ワーキングメモリ等の機能を抑制してしまう。あれっ、興奮型ドーパミンなのに活性化させずに抑制します。おかしいですね。理由は、強いストレスは、前頭前野内のドーパミン濃度を「過剰に」上昇させます。他方老化に伴って前頭連合野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下します。そのわけは、ドーパミンには「適正」量があり、過量でも少量でもうまく働かないのです。多方興奮系のドーパミンは、快の記憶が原因として扁桃体を活性化して、それがA10ドーパミン神経を活性化し、更にA10活性化によってドパミン側坐核(意欲・行動化)を興奮させて、快(欲求)を追い求めます。
アセチルコリン(精神活動)はド-パミンと互いに拮抗し合う関係にあります。ド-パミン作用が弱くなっている状態ではアセチルコリンの作用が強くなっています。アセチルコリンの働きを抑える作用によってド-パミンの作用を強めることができます。
安静時には認知課題中に比べてドーパミンが増加する脳領域があります。DMNの脳活動は内的思考過程に関係しているが、前頭前野内側部(DMN脳部位)における安静時のドーパミンの増加が内的思考過程を支えています。他方前頭前野外側部のドーパミンはCEN認知行動を支えています。つまりドーパミンがDMNに働き掛けると内向し、CENに働き掛けると外向する傾向にあります。
レム睡眠時における覚醒系モノアミン(セロトニンノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミンドーパミン)作動系の活動消失はドーパミンの作用を増強させます。大脳(特に辺縁系)におけるドーパミンの作用亢進は、夢を誘発させます。即ち、脳幹はレム睡眠を誘発し、前脳におけるドーパミン作動系の作用が夢見を誘発します。