悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-1)瞑想と脳波 6-1-5-2)θ波(シータ波)(4~8Hz) 6-1-5-2-3)FMシータ波

6-1)瞑想と脳波

6-1-5-2)θ波(シータ波)(4~8Hz)
6-1-5-2-3)FMシータ波
シータ波の中でも特に「Fmθ(シータ)律動」(リズミカルな繰り返し)は、覚醒状態での、一つの精神的な課題や出来事への「注意集中、没頭、無我・忘我」などの状態を表します。特に前頭葉のシータ波は集中(注意)力と深く関係します。
Fmθ律動の発生機構に関して、「前部帯状回」領域と「内側前頭前野」や「背外側前頭前野」領域での密な一定周期の交互活動と共鳴・同期・引き込み活動が、前頭正中部でのθ(シータ波)律動波の生成・発生に関与しています。
この脳波は、精神的「注意集中」のような「能動的注意」の「維持」に関与しています。特定の課題に注意を絞り、維持するためにさらなる努力を持続的に行使する能力に、この脳領域活動が関与しています。つまり「作業記憶」(中央実行機能)が働いていることを示します。
Fmθ律動は、能動的な「前部帯状回」の活性の維持により、たとえ新奇性が薄れ自動処理(無意識化)が働き始めても能動的注意の低下を食い止めて「持続的に注意」を向けさせる機能を意味します。というのは、実行制御(作業記憶)は、習慣的な行動や衝動的な反応(ボトムアップ処理)を抑える能力を持つからです。つまり意識的努力(能動性)の出処です。瞑想の熟達者では、安静時の2倍以上もの強さのシータ波が前頭葉(特に前頭前野)で出現します。
俗にいうフロー状態(今ここに集中して無心でものごとに取り組む状態)の時には明確に前頭葉のシータ波が強い。シータ波は、中央実行機能(作業記憶)が発生源といえます。その主導的役割を前頭前野(と前部帯状回)が担います。ところで、サルでも、運動課題を行う際に、前頭前野背外側(9野)と前部帯状回(32野)で、人の前頭正中シータ波に相当する脳活動(約5Hzのシータ波)が見つかっています。つまりサルでも能動性意識が主導権を持って行動していることを表わします。
このように見て来ると、「シータ波」と「大脳新皮質」(特に前頭前野と前部帯状回)と「作業記憶」(能動性意識・注意)と「海馬の記憶の記銘」と「アセチルコリン」はお互いに大いに関係がありそうです。しかも精神活動が主で、身体活動が従の状態であるともいえます。