悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

5-5)観察瞑想と自我 5-5-4-2)記憶機能の神経基盤

5-5)観察瞑想と自我

5-5-4-2)記憶機能の神経基盤
意味記憶」に関わる神経基盤としては、「側頭葉」(とその内奥にある海馬)が上げられます。この意味記憶には「時間と空間」情報が添付されていません。つまり抽象化された切り離された個別情報です。
しかしエピソード記憶機能であれば、時間経過の連鎖と空間定位された情報を脳内にパノラマ表示できます、特に人間の場合には、時間経過の連鎖情報を左脳(特に前頭葉)に、空間に定位できる画像情報が右脳(特に頭頂葉)に。このようにエピソード記憶によって、事柄の1)因果関係、2)時間的前後関係、3)空間的位置関係を脳に表示するという思考(シミュレーション)が可能となります。これは脳幹によるその時々の単純な反射に頼るよりも、環境適応においては大きく有利です。つまり自分自身の行動の履歴をもつこと、つまりエピソード記憶の機能を持つことは生存上極めて有利です。
ところで、「エピソード記憶」に近い「自伝的記憶」とは、「自分」についての、自分を核とする1)「エピソード記憶」と、自分とは何かという自分にまつわる2)「意味記憶」の総体です。つまり自伝的記憶とエピソード記憶とは異なるのですが、かなり近いので以降は同じものとして扱います。