悟りへの瞑想の道を脳科学から解説

悟りとはどうなることなのかを、瞑想で悟りを得る道筋を脳科学から具体的に解説して行きます

6-1)瞑想と脳波 6-1-7)瞑想中の脳波

6-1)瞑想と脳波

6-1-7)瞑想中の脳波
瞑想前の日常活動では、主にベータ波(心身共の活動)が出現しているが、瞑想を始めると、基礎的アルファ波(心身ともにリラックス・休息)からシータ波(身体はリラックスで精神が活動)へと移行します。つまり瞑想中は身体は休息しながらも脳が活発に活動をすることがわかります。
瞑想時の脳波の特徴として、前頭部におけるアルファ波出現による高振幅徐波化(ベータ波からアルファ波へ)およびシータ波の出現があります。瞑想したり、心が静まってくると、アルファ波、シータ波、デルタ波という順に周波数の低い脳波が大きくなっていきます。これは睡眠過程と同じです。
注)徐波とは、基準のアルファ波より周波数が低いという意味で、デルタ波(0.5~4Hz未満)とシータ波(4~8Hz未満)があります。
瞑想時にみられるアルファ波出現による高振幅徐波化は、瞑想初心者における呼吸への集中瞑想の短期間練習後でも観察されます。注意集中という精神活動と密接な関係を持つ集中時脳波の特徴として、前頭正中部におけるシータ波の出現があります。前頭正中部におけるシータ(θ)波(6-7Hz 帯域)が精神課題中に目立って現われ、持続的に注意を向けて課題に取り組んだ者に多く認められます。これは、Fmθ波と呼ばれ、連続加算作業や空間認知などの精神作業中に前頭正中部に出現する6-7Hzの同期性の脳波です。
瞑想を極限にまで深めれば、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波の4つの脳波が同じような大きさになります。瞑想熟練者になると、最も周波数の高いガンマ波が大きくなります。瞑想中だけでなく、最終的には1日中どんな時でもガンマ波が強いのです。究極は、ガンマ波を含めたすべての脳波が一斉に高くなる状態で、瞑想中にこの状態になった人は、仏教で言うところの空や無我(無念夢想)の状態になっています。
脳幹網様体賦活系には背側経路と腹側経路とがある。背側経路(脳幹網様体視床非特殊核→大脳皮質)は、外界からの各種感覚刺激が
青斑核ノルアドレナリン神経(脳幹)で中継されて、大脳皮質全体を活性化(覚醒化)させます。この時閉眼状態のアルファ波の出現に関係します。ノルアドレナリンは、脳をしっかり覚醒させて高い精神機能を発揮させます。 しかしノルアドレナリン量が過剰になると、不安、恐怖、焦燥状態を来たします。
それに対して、腹側経路(脳幹網様体→前脳基底部→大脳皮質)は、前脳基底部のコリン作動性(アセチルコリン)神経が仲介します。この神経にセロトニン(中脳背側縫線核セロトニン神経が中継)が作用すると、アセチルコリンの精神活動がセロトニンによって抑制されて脳波が徐波化します。つまり精神活動が停止ないし穏やかになります。丹田呼吸法の高めアルファ波出現にはこちら側(腹側経路)が関与します。